第1章 ロジカル・シンキングとは何か?
1.ロジカル・シンキングとは?
●ロジカル・シンキングとは、筋道を立てて考えること
・ロジカル・シンキングとは論理的(ロジカル)に考える(シンキング)こと
・筋道を立てて考えること
・成功率を高め、確実に目標達成するために不可欠な思考法
●ローカルに考えると、試行錯誤が増加する
・ロジカル・シンキング ó ローカル・シンキング
・ローカル・シンキング・・・行き当たりばったり、独りよがり、朝令暮改、試行錯誤
ð 時間の浪費、成果につながらない、後手の対策
2.なぜロジカル・シンキングが必要なのか?
●ロジカル・シンキングしないと
・ロジカル・シンキング欠乏症・・・モグラ叩きの仕事、全体把握の欠如、失敗の繰り返し
・失敗の原因究明 ð 経験、ノウハウの積み上げ
●ロジカル・シンキングすると
・ロジカル・シンキングで全体像把握の習慣化・体系的な思考
・努力と活動を目標達成につなげることが重要
・目標達成のステップを明確に
・筋道を立てて考える ð 機能的な連携
ロジカル・シンキングする場合 |
ロジカル・シンキングしない場合 |
【長所】 ・全体像の把握 ・体系的な思考 ・最短距離の達成 ・確実な目標達成 ・問題解決 ・トラブル減少 |
【短所】 ・全体像が見えない ・同じ失敗を繰り返す ・タブーを作る ・交渉失敗 |
3.ロジカル・シンキングが生まれた理由
●米国でロジカル・シンキングが生まれたのはなぜか?
・MBA(Master of Business Administration)経営学修士
・知識体系・・・マーケティング、アカウンティング(会計)、ロジカル・シンキング
・多民族国家故の納得性の高い共通ルールが必要
・5W2H:Why,What,Who,When,Where,How,How much
●日本でロジカル・シンキングが定着しないのはなぜか?
・単一民族、単一言語、終身雇用制度、年功序列制度
●なぜ今、日本人にロジカル・シンキングが必要なのか?
・グローバル社会、ボーダレス社会
●日本の若者が欧米流の価値観へ
・二十代の若者の価値観の変化・・・具体的な指示がなければしない。自分で気を使ってまで仕事をしない。
・組織の目標、個人の目標を論理的に展開する必要がある。
●スピードと確実な目標達成を
・スピードの時代,スピードで勝敗が決する時代
・先行者利益(ファーストムーバー・トップシェア)
・目標設定とシナリオ作成が重要
4.ロジカル・シンキングをする人、しない人
●ロジカル・シンキングする人
・従来との違いを分析する習慣
・影響の因果関係の明確化
・結果の総合的な予測
●ロジカル・シンキングしない人
・やってみなければ分からない。
・運が悪かった。
・戦う相手が悪かった。
・根拠無く他人のせいにするのが特徴
・ロジカル・シンキング ð 構成要素を分析 ð 因果関係の明確化
・分析・・・構成要素を分けて解析する。 ï 習慣化
・どんぶり勘定=ロジカル・シンキングしない人
5.考える力を高めるロジカル・シンキング
●ヒラメキだけでは着火剤
・1回のヒラメキだけで成功するのはマレ
・ヒラメキ=着火剤
●神風を信じる人はロジカル・シンキングしない人
・成功のシナリオの欠如
・成功願望
●考えるプロセスを持とう
・ヒラメキ ð 花火の着火剤 ð 論理的思考
・ヒラメキ ð 失敗 ð 失敗原因の分析(Why?) ð 新たなヒント、次のヒラメキ
●考えるための定石を身につける
・アイデア出しの有効なプロセス
・分析 ð アイデア出し ð 評価
・問題発掘・問題解決のプロセス=ロジカル・シンキング
・Why?でヒラメキ分析 ð 本質とエッセンスが明確になる ð 新たなヒラメキ
6.身近なロジカル・シンキングの活用事例
●個人の日常で活用する
・Why?と素朴な疑問を
・素朴な疑問を放置しない。
●プレゼン力を高める
・プレゼンテーション=説得術
・自分のシナリオで相手を誘導し説得する。
・ストーリー展開の論理性
●交渉力をつける
・相手の論理展開を理解する能力
・的確な応答能力
・相手と自分の合意点の発見能力
●問題解決力をつける
・混沌状態 ð(Why?)ð 問題発見 ð 解決策
・NEWSをうのみにするな。
第2章 どうすればロジカル・シンキングが身につくか?
1.ロジカル・シンキングを阻害する要因
●過去の成功体験に酔いしれる
・過去の成功体験に酔いしれる ð 思考停止
・成功結果 ð 過去の美化 ð 原因究明ナシ
・自慢話にはご用心 ï 思考停止者
●失敗体験からタブーを作る
・失敗体験で思考停止 ð タブーの形成
●mustとwant
・must:・・・ねばならない
・want:・・・が望ましい ð しなくても良い
・must ð high-want ð middle-want ð low-want
・優先順位に従う
・どこまでがmustで、どこからがwantか
●慣性の法則に惑わされるな
・慣性の法則(ニュートン)
・人や組織も慣性の法則に従う
・過去の延長で思考することは得意 ó やり方の変更は苦手
・慣性の法則 ð 思考停止
●悪魔の口癖の魔法にかかるな
・選択肢を考える ï これしかない、他にはありえない、絶対そうだ ï 悪魔の口癖
・ワンパターン、記憶に依存した判断 ð 思考停止
・右肩上がりの時代:記憶力の良い人 ð 優秀 ï できない理由を記憶の中から検索
2.目的と手段を区別する
●目的と手段
・目的・・・What
・手段・・・How,How to
・目的達成 ð 手段 (系統図)
・1つの目的に複数の手段
・手段の議論は無意味
・目的達成の最適手段選択が重要
●上位目的と下位目的を認識する
・困ったら大目的に返れ
・手段より目的を優先
・大目的と小目的の正確な認識・・・目的と手段の混同原因
・Why?で目的を考える
3.なぜなぜ問答をする
●原因究明なしで対策を考えない
・Why?は原因究明に効果的
・トヨタ自動車:5W・・・Why?を5回繰り返す
●成功や失敗の原因究明の習慣を
・なぜなぜ問答
・原因 ð 結果 (連関図)
・結果の凝視 ð 本質喪失
・結果 ð 原因 ð 因果関係の探索
・原因究明なしの対策 ð 的はずれな対策
4.まず全体像を把握する
●マクロからミクロへ
・全体と部分の関係把握 ð 構成要素の把握
・全体把握ナシ ð 手段先行の議論
・マクロ ð ミクロ \ロジカル・シンキングの定石
●ちょっと立ち止まって傍目八目(おかめはちもく)
・問題点の客観的把握 ï 社外取締役、コンサルタント ï 離れて眺め、全体把握
●グランドデザインを明確にする
・グランドデザイン・・・全体構想、将来のあるべき姿
・グランドデザインの共有 ð 意思統一
・目的 ð グランドデザイン
●グランドデザインを議論しよう
・夢の語らい
・グランドデザイン段階は変更が容易
5.可能性を追求する
●今までの延長上で考えない
・良い方向 ð 慣性の法則:OK
・悪い方向 ð 慣性の法則:NG
・点検確認の必要性
●1案に固執せずにいろいろ選択肢を考える
・発想転換 ï 従来の延長上で考えない
・発想360度 ï 既成概念の払拭
・大胆な代替案の複数作成 ð 慣性の法則からの脱却
・代替案が無い ð 評価困難
・流れる水は腐らない ó 溜まった水は腐る
・冒険心は、新鮮な酸素の追求
6.情報整理法を身につける
●キーワードで整理する
・情報過多、情報速度アップ
・大切な情報のキャッチ&整理
・情報把握 ð キーワード ð 記憶の扉を開ける言葉
・キーワード ð 大量の情報の引き出し鍵
●情報をグルーピングする、階層化して整理する
・大量の情報把握 ð 記憶 ï 情報のグルーピング
・情報整理法:グルーピング ð 階層化
第3章 ロジカル・シンキングの知識体系
1.マクロからミクロに、まず全体を捉える
●ミッシー(MECE)
・全体像把握
・マクロからミクロへ
・グランドデザイン
・MECE(Mutually Exclusive Collectively Exhaustive)モレ無く、ダブリ無く把握する
・全体像把握にはMECEが効果的
●なぜMECEなのか
・モレ ð チャンス喪失
・ダブリ ð ムダ、混乱
●フレームワーク
・フレームワーク・・・全体の構成要素の明確化
・フレームワークはMECEでなければならない
・フレームワーク ð 構成要素別分析
・経営戦略のフレームワーク ð 3C(Customer,Company,Competitor)
・フレームワークは、偏った見方を防止する
・フレームワーク・・・全体と部分の関係を明確化するロジカル・シンキング
●モデル化
・単純明快に考える
・単純明快 ð 第三者への説明が容易 ð 理解しやすい ð 協力体制確立
・モデル化・・・本質だけの状態 ï 例外処理や細部の捨象
・ビジネスモデル・・・もうけの仕組み
2.可能性を広げる
●既成概念の枠にとらわれない発想
・慣性の法則に従う仕事の時給は900円 ï アルバイト代
・慣性の法則を破り、新しい可能性発見と将来の利益想像の時給は3,000円
●ゼロベース思考
・ゼロベース思考・・・既成概念や常識にとらわれないゼロからの発想
・ゼロベース思考 ð 思考の土俵を拡大変化させる
●オプション思考
・オプション思考・・・解決策の選択肢(代替案)を複数考える思考法
・複数代替案 ð(第1次評価)ð 3案前後に絞込み ð 具体化 ð(第2次評価)ð 最終案
・デル・モデル・・・工場を持たない完全外部委託のコンピュータ生産方式
●ブレインストーミング
・ブレインストーミング・・・自由発想を高める
・ルール
@既成概念・常識を捨てる
A何でも良いから量を求める
B「3セズ」批判セズ、議論セズ、くどく説明セズ
C人のアイデアに便乗する
Dアイデアは箇条書きで記録する
・目標100個
・ブレインストーミングはアイデア集め
・アイデア ð グルーピング ð 優先順位付け ð 整理 ð 解決策・改善案
3.情報整理術
●図解や図表を使って情報を整理する
・図解 ð 平面二次元が自由に使える ï ランダム可能
・文字・・・直線一次元 ï シーケンシャル必須
・図解・・・多階層、グラフ化 ï ロジカル・シンキング
●ロジックツリー
・ロジックツリー・・・MECEを意識したツリー構造で、因果関係や大小関係を階層化する。
・ロジックツリー・・・網羅性の確保、相互関係・大小関係の明確化、全体像の把握
・課題 ð(So How?)ð 手段へ分解 ð(So How?)ð 解決策
・モレ・ダブリの未然防止 ð 下位施策が上位目的を達成するか?(チェック)
●マトリックス
・マトリックス ð 二次元 ð 相関関係、因果関係の把握容易
・PM(製品・市場)マトリックス
@「既存製品&既存市場」・・・既存事業そのもの、強化ð現業の深化・市場浸透
A「新規製品&既存市場」・・・新製品開発ð多角化
B「既存製品&新規市場」・・・市場開発の多角化ð市場開拓
C「新規製品&新規市場」・・・未知の領域への多角化ï先行投資
製品 (Product) 市場 (Market) |
既存/製品 |
新規/製品 |
既存/市場 |
<市場浸透> |
<新製品開発> |
新規/市場 |
<新市場開拓> |
<事業の多角化> |
●プロセス図解
・プロセス図解・・・業務をプロセスで把握する。
・プロセスの画期的な改革 ð 業務改革・業務効率化 定石
・プロセスをブロックチャートにした場合
・プロセスをフローチャートにした場合
○○部門 |
△△部門 |
××部門 |
□□部門 |
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4.効果が高いものに優先順位を付ける
●限られた資源で投資対効果を最大化する
・あれもこれも欲張らない
・集中が大切
・(経営戦略)選択と集中 ð (ロジカル・シンキング)プライオリティ
●プライオリティ
・プライオリティ(優先順位)をつけて、着実に課題を片づけることが効果的
●ABC分析
・ABC分析・・・プライオリティをつける方法
・ABC分析・・・パレート図を作成して優先順位を判断する方法
A群:最重点管理群
B群:重点管理群
C群:非重点管理群
・作業時間の調査 ð パレート図(タテ軸:作業時間,ヨコ軸:作業項目) ð 上位20%の作業項目改善 ï (パレートの法則)上位20%の作業項目が作業時間全体の80%を占める
●ECRS
・ECRS・・・改善のプライオリティ
・E(Eliminate)・・・止める、除去する ï 最も高い改善効果 ð mustの思い込みを捨てる
・C(Combine)・・・統合する、一緒にする
・R(Replace)・・・置換する、交換する
・S(Simplify)・・・単純化
・成果につながらない仕事はEliminate
5.意思決定プロセス
●意思決定プロセスを明確にして説得力を高める
・意思決定・・・やり直し不可能な重大な決定を、決意を持って行う行為 ï 単なる判断や決定とは重みが異なる
・意思決定プロセス:目的確認 ð 代替案作成 ð 評価 ð 決定
・意思決定プロセス ó 独断
・あらゆる可能性 ð 最良案の探索 ð 最適意思決定
●定量評価と定性評価
・定量評価:必須
・定性評価:客観評価 ð 定量評価で把握不可能な部分を総合的に判断することが可能
●評価と決定
・代替案作成 ð 客観的評価 ð 代替案の完成度アップ
●提案つぶしが好きな日本人管理職
・新しいアイデアは育てる意識
・一案に固執せず、360度の可能性から代替案を
第4章 ロジカル・シンキングの習慣を身につける
1.全体像を把握する習慣
●モレやダブリをなくすコツ
・MECEのコツ=深さより広がり重視 ï 他にも何か無いか?
・MECEのコツ=「反対」「それ以外」を考える
・MECE 偏った見方を未然防止
●一枚に情報を整理して全体像を把握する
・一枚整理の習慣化 ð 全体把握
・要旨は一枚がベスト
●単純明快にポイントを把握する
・複雑 ð 第三者に理解不能 ð 協力体制不能
・重要ポイントを3つ挙げる ð 不可能? ð ポイント把握が未熟
●ビジネスモデルは単純明快
・見えなければ再構築が必要
2.思考の枠組みを広げる習慣
●あらゆる選択肢を最初に考える
・あらゆる手段を考える習慣 ð 複数代替案 ð より良い選択
●今までのやり方を一度捨てて考える
・代替案 ð 大胆発想 ð 慣性の法則から脱却
●時間軸を変えて考える
・単眼的・・・一点集中により他への関心が妨げられる状態 ó 複眼的
・時間軸を複眼的に見る・・・片目で現在を、他方で未来を ð 時空間の立体視
・時間軸の中でマイルストーンを明確化
●距離の枠組みをはずす
・距離の常識を破る
・常識を破れば、新しい常識が生まれる
3.効果が高いものは何かに注目する習慣
●あれもこれも欲張らない
・資源を集中し、何かを捨てなければ、何かを成し遂げることはできない
●優先順位をつける習慣を身につける
・プライオリティの明確化 ð 中途半端にしないコツ
●たくさんある時は、数個前後に整理する
・グルーピングの必要性
4.思いこみを未然に防ぐ
●事実と判断を区別する
・事実は一つ
・判断は人それぞれ ï 人ごとに異なるフィルターは、経験や先入観
・迷った時は、事実へ戻る
●人の話を鵜呑みにしない
・人の話を鵜呑みにしない
・Why?という素朴な疑問を大切に ð 先入観の未然防止
5.なぜ(Why?)をいつも心に持ち続ける
●神風は吹かない
・何もしなければ神風は吹かない
・成功のシナリオと用意周到な策略と実行力
●なぜ成功したのか、なぜ失敗したのかを原因究明する
・Why? ï ロジカル・シンキングの定石