理科系の作文技術
1.序章
1.1チャーチルのメモ
・一言で言い切れ
・簡潔
1.2この書物の目的
・間違いなく意図を相手に理解させる。
・事実と意見を十分に精選
・順序よく明快・簡潔に
・必要なことはモレ無く記述し、必要でないことは一つも書かない。
・事実と意見(判断)の区別を明確に
・表現が一義的に読めるか。スパッと言い切る。
・日常用語で短い文を心がける。
2.準備作業
2.1準備作業の必要性
・主題の選定
・材料の探索
2.2文書の役割の確認
・自分の書こうとする文書の役割
・価値と成功の可能性(feasibility)
2.3主題の選定
・一つの文書は一つの主題に集中すべし
・自分自身が直接タッチし、事態に直面して得た情報
2.4目的規定文
・何を目的としてその文書を書くのか・・・目的規定文
・文書を書き始める前に結論を出せ。
・一貫して明確な目的意識をもって書いた文書でなければ、スカッとした切れ味は出せない。
2.5材料集め
・思いつくままのメモ
・必要なことを書き落とさない。
・補助材料を利用し、表現を豊かに説得力を増す。
・5W+1H
・何が問題かを明確に
・確実に分かっていることは何か。
・調べる必要があるのは何か。
3.文書の組立
3.1記述の順序
・重点先行主義
3.2序論
・序論は短く、短く。
3.3結び
・『重要な』『興味ある』・・・といった類の形容詞を混入させるべきではない。→客観主義
3.4本論叙述の順序
・巨視型の叙述の方が全体を把握しやすい。
・概観から細部へ
・記述順序を思い定めてから書き始め、途中で原則を犯さない。
・どうしても原則を守れなければ、方針を変更して最初から書き直す。
・従来の説、或いは自分と反対の立場の人の説の欠点を指摘してから自説を主張
・いくつかの事例を挙げて、それによって自分の主張したい結論を導く。
・主張を述べてからその例証を挙げる。→技術士論文向け
・誰にでも受け入れられる論点から徐々に議論を盛り上げ、最後に最も言いたいことを主張する。
・最初に自分の主張を強く打ち出す。→技術士論文向け
3.5文書の構成案の作り方
・KJ法
4.パラグラフ
4.1パラグラフとは
・パラグラフとは、内容的に関連のある複数の文(センテンス)の集まりで、それによって一つの考えを表現するもの。
4.2パラグラフの満たすべき条件
・パラグラフには、そこで何について何を言おうとするのかを一口に、概論的に述べた文が含まれる。・・・トピック・センテンス
4.3トピック・センテンス
・重点先行主義にしたがって、トピック・センテンスを最初に書く。
・パラグラフにはトピック・センテンスを含むのが通例
4.4文書構成要素としてのパラグラフ
・パラグラフは、あるトピックについてある一つのことをいう。
・パラグラフの標準的長さは200〜300字
5.文の構造と文書の流れ
5.1レゲットの言うこと
・逆茂木型の文書は避ける。
・論理の鎖の環を省略することはできない。
5.2文の構造−逆茂木型の文
・一つの文の中に、二つ以上の長い前置修飾節は使用しない。
・修飾節中の言葉には修飾節をつけない。
・文または節は、可能な限り前とのつながりを浮き立たせるような言葉で書く。
6.はっきり言い切る姿勢
6.1はっきり言い切るための心得
・『・・・と思われる』『・・・と考えられる』という表現は避ける。
・『自分は・・・と思う』『・・・と考える』
・『ほぼ』『約』『ほど』『ぐらい』『たぶん』『ような』『らしい』といった類の言葉は削除する。
7.事実と意見
7.1事実と意見
・事実とは、証拠を挙げて裏づけすることのできるもの
・意見とは、何かについてある人が下す判断
・レポートの主体を為すものは、事実であって意見ではない。
・事実と意見はきちんと区分して書く。
・事実の裏づけの無い意見は記述を避ける。
7.2事実とは何か、意見とは何か
・推論・・・ある前提条件に基づく推理の結論、または中間的な結論
・判断・・・ものごとのあり方、内容、価値などを見極めてまとめた考え
・意見・・・自分なりに考え、或いは感じて到達した結論の総称
・確信・・・自分では疑問の余地が無いと思っている意見
・仮説・・・真偽の程は分からないが、仮に打ち出した意見
・理論・・・証明になりそうな事実が相当にあるが、まだ万人にそれを容認させる域には達していない仮説
・事実の記述は二価
・意見の記述は多価
7.3事実の記述、意見の記述
・事実の記述で必要なことは、
(1)書く必要があることは何か
(2)できるだけ明確に
(3)名詞と動詞で書き、修飾語を入れない。
・意見の記述で必要なことは、
(1)意見の核となる言葉が主観に依存する修飾語である場合には、基本形の頭と脚を省略可能
(2)上記以外の場合は、頭と脚を省略することはできない。
7.4事実と意見の書き分け
・事実を書いているのか、意見を書いているのかを常に意識し、両者を明らかに区別して書く。
・事実の記述には意見を入れない。
7.5事実のもつ説得力
・事実の記述は、より特定的で(一般的ではない)、より明確な(漠然としていない)、より具体的(抽象的でない)であるほど情報としての価値が高い。
・意見は事実の上に立って論理的に導き出されたものでなければならない。
8.分かり易く簡潔な表現
8.1文は短く
・書きたいことを一つ一つ短い文にまとめる。
・論理的にきちんとつなぐ。
・文の中で何が主語かを明確に意識して書く。
・心理的要素を犠牲にしても明快・簡潔を旨とする。
8.2格の正しい文を
・破格の文を書かない。
8.3紛れのない文を
・一義的にしか読めない文
・意地悪く読もうとしても、他の意味に理解できない文
8.4簡潔
・荒っぽく見えても良いから簡潔に書く。
・埋草と無用の重複を避ける。
・一語一語が欠くべからざる役割を負っていて、一語削れば必要な情報がそれだけ不足する文書が理想
8.5読みやすさへの配慮
・字面の白さ
・硬い漢語や難しい漢字は必要最低限に
・○○的という表現は使用しない。
・受け身の文は少ないほど良い。
・積極的にI(私)を使う。
・並記[@,A,B,・・・etc]の勧め
8.6文書の中の区切り記号
・セミコロン(;)は読点(、)より強く区切りをつける。
・コロン(:)は文中の区切り記号で、読点(、)より強く、セミコロンより弱い。
・なかぐろ(・)は並列、並記
・ダッシュ(−)は形式ばる必要のない場合に、コロンやカッコの代わりに使う―挿入句―
8.7私流儀の書き方
・漢字だけで書く言葉をベタに二つ続けない。
・文末の述語が次々と変化していくよう
・『である』より『だ』
・『であろう』より『だろう』
・書き言葉より話し言葉に